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ガラスの輝きに“特別”を込めて。すみだ江戸切子館・和ガラス館で触れる伝統のものづくり

墨田区で作られる伝統工芸の代表的存在ともいえる江戸切子。

ガラスに繊細なカッティングを施すことで多種多様な紋様と輝きを生み出し、日常の器のなかにある特別な存在として、約200年もの歴史の中で愛されてきました。

今回訪れたのは、そんな墨田区のガラス製品づくりに長く携わってきた廣田硝子さんが運営する二つのスポットです。

体験してみてより感じる、精巧な江戸切子の伝統技術

まずは江戸切子館の方へ。

ここでは、職人さんによる作業風景をガラス越しに覗きながら商品を見て触って購入することができるほか、つくりながら学ぶことができる「江戸切子体験」も人気です。


今回は、私たちも江戸切子作りにチャレンジさせてもらいました。

まずはスタッフの方による説明から。ご案内してくださったのは、スタッフの門脇さんです。


吹きガラスで二層構造に作られる本体

「江戸切子は、本体となるガラスを吹いて作るところから始まります。実は、江戸切子の本体は色がついているガラスと透明なガラスの二層構造になっていて、この表面を削ることで紋様が綺麗に出るしくみです。

伝統的な紋様にはそれぞれに意味が込められています。例えば円が重なっている七宝紋様は「円満」なんて謂れがあったり、籠目紋様は籠の柄になっているので、いいもの(福)を呼び込むといったメッセージがあるんです」

ガラスの表面を削って切子の紋様をつくるのは、職人さんによる手作業です。ズレのない幾何学的な直線や、細かい図柄まで形にしていくのは、いうまでもなく高度な技術が必要とされる作業です。思い通りにカットできるようになるまで、だいたい10年ほどの経験が必要になるそう。

江戸切子への理解度が増してきたところで、体験スタートです!

はじめに、スタッフさんに見本を見せてもらいました。


見本を見せてもらいながら「できるかな」と不安に…

体験では、さまざまなサイズのグラスを、定番の青・赤の2色から選ぶことができます。ガラスを選んだら、マジックで表面に下書きをして、回転盤に表面を押し付けていきます


緊張しながら削りはじめます

やってみると、一定の力でまっすぐな線を引くことさえも、すごく難しいことを痛感しました。


等間隔で同じ長さ・太さの線を引くのも大変!

「上手くやろうとするのではなく、貴重な機会なので楽しんで削ってほしいです。難しいんだということが分かってもらえれば、江戸切子に対する見方も変わりますよね」と門脇さん。

確かに、自分で体験してから改めてプロによる商品を見てみると、精巧な作りに改めて感銘を受けます。

どれほどの手間と技術によって出来上がるものなのかがイメージしやすくなるので、一つひとつが高価な理由にも納得です。


緻密な切り込みが組み合わされ、輝きを放つ宝石のよう

また、すみだ江戸切子館では、伝統紋様だけでなく、オリジナルのデザインも話題と人気を集めています。


スカイツリーの構造部分を切子で表現したタンブラー

スカイツリーにちなんだスタイリッシュなデザインも。人に説明したくなる墨田区にちなんだ商品として、贈り物や記念品にも人気だそうです。

「買い求めにきてくださる方の約8割は、ギフトとして江戸切子を選んでくださっています。誰かに贈って喜んでもらいたいと思ってもらえる特別な物として大事にしてもらえるのは、やっぱり江戸切子がシンプルに綺麗だからだと思うんです。ガラスだから壊れやすく高価ではあるのですが、だからこそ大切に使ってもらうことで、特別感を演出できたら嬉しいですね」

明治32年創業のレトロな和ガラス製品と再び出逢える場所

江戸切子の世界を満喫したあとは、歩いて5分ほどのすみだ和ガラス館にもふらりと立ち寄りました。

ここは、江戸切子館と和ガラス館の母体となっている廣田硝子の直営店としても機能している場所です。店内には大正・昭和の時代のデザインから着想を得た、和ガラスの数々が並んでいます。


個性豊かでどこか懐かしいガラスたちに目移りしてしまいます

廣田硝子の創業は明治32年。長くガラス作りに携わってきた歴史を持っているからこそ、大量生産でのガラス製造がメインの現在も「人の感性に訴えかけるぬくもりのあるガラスを届けたい」という思いでものづくりをしています。


ガラス製のランプシェード。複雑な成形には熟練の技術が必要とされます


水粒のようなあしらいがレトロで可愛いグラス


廣田硝子で製作してきた商品の型を復刻したパネル

どれも味わいのあるガラスのアイテム。昔懐かしいデザインですが、かえってそれがおしゃれで可愛いものとして目に映りました。

すみだ和ガラス館には、3階に廣田硝子が創業期から収蔵している貴重なガラス製品のミュージアムがあり、4階は和ガラスの製法を一般の方も学ぶことができる研究室として、来春再OPENの準備を進めているとのこと。

現在の暮らしでよく目にする洋ガラスとも、先ほど体験してきた江戸切子ともまた違った風情やその製法を知ることができる、よい機会になることを目指しているそうです。


お気に入りのガラス製品を迎えて愛着のある暮らしを


好きな街の伝統的なものづくりに触れると、より愛着が深まることを感じた今回。自分で作った江戸切子のグラスを持って帰りながら、今日知ったことを家族や友達にあれこれ話したくなっていました。

精巧な技術で作られる江戸切子や、量産化の現代で大事に復刻された和ガラス製品たちは、ギフトにはもちろんですが、ぜひ自宅用に吟味してお迎えしてほしいです。

職人技が光るこだわりのアイテムが日々の暮らしの中にあると、ふとしたときに愛着を感じる時間が増え、豊かさが増すはずです。

「良いモノ」を見つけに、ちょっとお出かけしてみませんか?

素敵なHello!が、今日もあなたに訪れますように。


すみだ江戸切子館

住所 東京都墨田区大平2-10-9  Google mapで見る
営業時間 10:00〜18:00
定休日 日曜・月曜・祝日および夏季・年末年始
WEB https://www.edokiriko.net/
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すみだ和ガラス館

住所 東京都墨田区錦糸2-6-5  Google mapで見る
営業時間 11:00〜17:00
定休日 日曜・月曜・祝日および夏季・年末年始
WEB https://hirota-glass.co.jp/sumida-waglasskan/
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(取材・執筆:山越栞)

※本記事に掲載している情報は、2022年5月時点のものです。

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