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雨の日も、心おどる自分だけの一本を。傘の専門店Tokyo noble*

雨の降り注ぐ窓の外の風景を横目に、どんよりとした気分になってしまう朝。

そんな日も、自分のために作られた世界で一つの傘があれば、気分も晴れやかになるかもしれません。

今回訪れるのは、そんな未来が叶いそうな場所。

墨田区に傘職人の工房を持つ「Tokyo noble*(東京ノーブル)」さんのお店です。

カラーバリエーションと無地で77色、柄が60色の4パターンの形、さらに持ち手の種類や長さ、飾りのタッセルまで全て自分好みにカスタマイズできる特別な傘屋さんには、雨の日を特別にしてくれる技術とワクワクが詰まっていました。

入口の向こうに広がる、鮮やかな傘の楽園

伺ったのは、東京・御徒町エリアの「2k540 AKI-OKA ARTISAN」にあるTokyo noble*さんの直営店。

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」は、線路の高架下に“ものづくり”をテーマにしたショップがいくつも並ぶ複合施設です。古くから職人が多い東京の東エリアで、現在も技術を大事にしながら感度の高い商品を扱っているお店が揃っています。

他のお店にも興味を惹かれながら進んでいくと、色とりどりの傘が並ぶ店先が視界に入ってきました。


珍しいデザインの傘もたくさん!

お店の入口から中を覗くと、さらに心踊る光景が広がっています。


壁一面に約520本のカラフルな傘がずらり

ここに並ぶ傘たちは、ほんの一例だというからさらに驚き。お店を訪れた人は、自分自身や届けたい誰かに向けて、イチからオリジナルの一本を作ることができるのです。

「外から見るとなんでもない傘がただ並んでいると思うかもしれませんが、中に一歩踏み込んでいただくと『こんなこともできるの?』と、皆さんキラキラとした表情を浮かべてくださるんです」

そうお話ししてくださったのは、マネージャーの市瀬裕子さん。

確かに、普段から「あって当たり前」のアイテムである傘にここまでしっかり意識を向けたことはなくて、いざ一つひとつ説明していただくと「すごい!」の連続でした。


傘職人の技術を説明してもらっている様子。これは伝統的な和傘スタイルのもの

ところで、日本の職人さんによる傘といえば、時代劇などで見るような骨組みの多い「ばん傘」をイメージする方も多いのではないでしょうか。

一方でTokyo noble*さんの傘はスッと長細く、スタイリッシュです。

「いつでも使ってもらえるようにできるだけ要素を削ぎ取って、本当にシンプルなデザインにしています。スマートな感じに仕上げることで、持っているだけでもかっこよくて、差していると楽しくなるような傘にしたかったんです」と市瀬さん。

とはいえ、職人の技術による傘であることには変わりありません。

「機械による量産と違うのは、1人の職人が裁断から縫製の工程を担い、丁寧に完成するところです。傘の生地を裁断する際も、中国の工場などで安く作る場合は紙のように何百枚も重ねたものを一気にバサッと切るので、ズレも出やすいのですが、日本の職人が作る場合は重ねても4枚程度。他の工程にも言えることですが、それぞれの職人さんの“精度へのこだわり”が全然違うんです」

壁一面に並んだ傘の長さがピタリと揃っているのは、職人さんによる精巧な作りだからこそ。こだわりのグラデーションの壁には、欠かせない“職人技”です。

また、雨粒が傘に当たると「ポンポン」と楽しげな音がするのも特徴。しっかりと張りのある生地が、雨の日の足取りを軽やかにしてくれそうです。


生地だけでなく持ち手や飾りのタッセルまでバリエーションが豊富

自分で選んだ組み合わせの傘は、その場で職人さんが形にしてくれるので、約30分で完成!その日のうちに持ち帰ることができるのも嬉しいですね。

「安さ」だけでは手に入らない、日本の職人技術が活きた傘を届けたい

しかし、Tokyo noble*としてブランドがスタートした背景には、傘を作って売っていく中での危機感がありました。

「元々私たちは、有名ブランドの傘を作るOEMの仕事をメインにしてきました。ところが、どんどん安く作ることが求められるようになってきて、これでは職人たちの仕事がなくなってしまうと危機を感じるようになったんです。実際に、今の日本国内で流通している傘はほとんどがアジア諸国で安価に作られたもので、日本製の傘は全体の約1パーセントほどしかありません」

ブランドからの依頼だけでは、自分たちの強みを感じてもらえるような傘を届けることができないと感じた市瀬さんたちは、Tokyo noble*をスタートします。

ブランドを立ち上げることで、傘専門店だからこそ、お客様に届けられるクオリティのものを作ろうという試みでした。


持ち手の長さを調節する職人さんの手元

「例えば持ち手の部分を好きな長さにカットしていただけるのは、私が工房で職人に作ってもらう際に当たり前のようにお願いしていたことです。そんな風に『お客様もこれができたらいいだろうな』と思うことがお店でも叶うようにしています」

そんな市瀬さんの言葉に、傘を通して日常を豊かにしたいと願うTokyo noble*さんの想いを感じました。


本物の傘と同じ生地で作るピアスとイヤリングは、若い女性の職人さんによるもの

店内には、傘の素材を生かしたアイテムやアイデア商品も。

本物の傘と同じ生地で作ったアクセサリーやミニチュア傘も丁寧に作られていて、思わず笑みがこぼれました。


思わずお土産にしたくなるミニチュア傘

雨の日を、自分らしく過ごせる日に

お店に訪れるのは、男女問わず20〜80代の幅広い方々です。

「年によってその方のいる環境が変わると、選ぶ傘も自然と変わるので、リピーターさんも多いんです。例えば働き盛りのとき、お子さんができたとき、さらにお子さんが小さい時と大きくなった時でも全然違ってきます。ベビーカーのお母さんは長い傘だとちょっと邪魔なので、ベビーカーにかかるサイズにしたいですし、お子さんが成長してだっこしたり歩いたりするようになれば、2人で入れるような大きな傘がよかったりしますしね」

デザインだけでなく、機能面でも人生に寄り添ってくれる傘があったら素敵ですよね。お客様に出来上がった傘をお渡しすると、パッと表情が明るくなって、まるでスキップしはじめそうな様子で帰っていくそう。

大事な人へのプレゼントでも、お相手の生活スタイルや普段の服装などから、スタッフさんが真摯に相談に乗ってくれるので安心です。

お話を伺いながら、「私だったらどんな傘にしようかな」と自然に考えていました。

たかが傘だなんて思わず、雨の日が豊かに変わる傘の世界に足を踏み入れてみてください。

素敵な「Hello!」が、今日もあなたに訪れますように。


(取材・執筆:山越栞)

Tokyo noble*
住所東京都台東区上野5-9-19 2k540 AKI-OKA ARTISAN N-3  Google mapで見る
営業時間11:00〜19:00 ※季節により変動あり
定休日水曜日
期間限定ショップのご案内 6月1日(水)~6月15日(水)

期間限定ショップで販売中!

場所 : テルミナ2 ラガール屋内入口付近(JR錦糸町駅北口側) 
WEBhttps://www.tokyo-noble.com/shop.html
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※本記事に掲載している情報は、2022年6月時点のものです。

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