ふらりと立ち寄る嬉しい時間。地元の老舗和菓子屋「白樺」によるテルミナ店だけの甘味処へ
錦糸町で70年以上も地元に馴染んできた和菓子屋さん、白樺。
以前は本店の取材をさせていただき、看板商品の「たらふくもなか」と「錦どら」のストーリーをお伝えしました。
この度、2号店として愛されてきたテルミナ店がリニューアルオープン!なんとこちらでは、本店にはないイートインスペース(甘味処)が誕生!
ここだけで楽しめるメニューについて詳しく伺うと、その背景にも、本店と変わらぬ「和菓子を通した日本文化への想い」を感じることができました。
ここだけのとっておき。焼きたてのお団子とキュートな和パフェ
それではさっそく、白樺のテルミナ店へ。
本店も錦糸町駅から徒歩5分ほどの場所にあるとはいえ、テルミナ店は駅に直結していることもあり、食材のお買い物がてら立ち寄る親子や、手土産を選びにやってくる会社員の方でひっきりなしに賑わっています。
もともとテルミナ店自体はあったのですが、2023年6月に、カウンター付きのスペースへと移動し、甘味処つきの店舗としてリニューアル。
甘味処は、かつて本店にも併設されていましたが、現在は工房として使われています。つまり、ここテルミナ店が「白樺の唯一の甘味処」ということ。
さらに、今回のリニューアルオープンのために「ここでしか味わうことのできない」メニューの開発にも力を入れたとのこと。
ということで、まずはこちらの「焼き団子」からご紹介します。
注文してみると、まず提供されるのはこんな風に真っ白でかわいいお団子と、4種類の味が楽しめる豆皿。左から、みたらし、あんこ、醤油、鰹節となっています。
「“焼き”の要素はどうやって?」と思っていると…店員さんが小さなトースターを運んできてくれました!
なんとここでは、自分で焼いたほかほかのお団子を、お好みの味付けで楽しむことができるのです。
ついつい気になってしまい網の上のお団子をじっと見ていると、だんだんとふっくらしてきて、香ばしい匂いがかすかに届きます。
おすすめは、まず醤油をたっぷりつけた後に、鰹節をまぶす食べ方だそう。さっそくチャレンジしてみました。
お団子の数と大きさもちょうどよく、お手製のあんこやみたらしなどにあれこれ味を変えながら、大満足できる一品です。
また、白樺のアイコン的和菓子「たらふくもなか」を使った和スイーツも。
自家製の黒蜜、寒天、あんこ、白玉に、バニラと抹茶のアイスクリーム、フルーツ、さらには「たらふくもなか」がぽてっと乗せられた見た目は、言うまでもなくとってもキュートです。
食べるのがもったいないけれど、「たらふくもなか」はアイスクリームとの相性も抜群!一緒にいただくと、ちょっと贅沢な気分に浸ることができます。「たらふくもなか」の新しい楽しみ方として、この暑い夏には特におすすめです。
さらに、どのメニューを注文しても選べるドリンクには、抹茶とコーヒーをそれぞれホットかアイスで。
なんとコーヒーは、この甘味処のために、地元の珈琲店「私立珈琲小学校」さんがプロデュースしてくれたものだそうです。
そこで、行き届いたこだわりをより詳しく教えてもらうために、今回も三代目の根本幸治さんにお話を伺いました。
気軽にひと休みできる甘味処を。コーヒーとのペアリングもぜひ味わって
「イートインつきスペースへの移動が決まったとき、まず思いついたのが焼きたてのお団子を食べてもらうことでした。和菓子屋の家で生まれ育った自分にとっては、焼きたてのお団子の美味しさがあまり多くの人に知られていないのがもどかしくて。そこで思いついたのが、お客さまご自身に焼いていただくこのスタイルです。召し上がった方には『焼きたてのお団子ってこんなに香ばしくてもちもちしていて美味しいんですね』と言っていただけて嬉しいですね」
たしかに、焼きたてのお餅には馴染みのある私たちですが、お団子となるとなかなか焼きたてを味わう機会はありません。
実際に自分で焼いてみると、その美味しさはもちろんのこと、お団子が香ばしく色づいていくひと時にも癒されました。
「昔は、甘味処って今のカフェみたいな感覚であちこちにあったと思うのですが、今だとなんとなく入りにくかったりもしますよね。食料品フロアでもあるこの場所だからこそ、買い出し途中のひと休みにもお気軽に使っていただきたいです」
そんな「気軽に和菓子を楽しんでほしい」という根本さんの想いは、甘味処でありながらコーヒーにこだわっている点にも反映されています。
「コーヒーは、ご近所という」ご縁で『私立珈琲小学校』さんにプロデュースしていただきました。コーヒー好きの方におすすめのオーソドックスな味わいが特徴の『白樺ブレンド』と、和菓子とのペアリングにおすすめな浅煎りの『たらふくブレンド』です」
実際に「たらふくブレンド」をいただいてみると、ほのかな酸味と浅煎りならではの華やかな香ばしさが、もなかの風味と白餡にぴったり。これには根本さんも、初めて飲んだ時に感動を覚えたそうです。
「浅煎りのコーヒーはこれまで飲んだことはありましたが、ここまで合うものには出会ってこなかったので、とても驚きました。コーヒーの味に和菓子の繊細な味が負けないというか、引き立てあっているというか。今のところはこのテルミナ店のイートインでしか提供していないので、ぜひここで味わってみてほしいです」
駅ビルの一角で、日本の和菓子文化を感じるおやつ時間
和菓子をより身近に感じてもらうためには、こうした「新しさ」や「気軽さ」も大切ですが、白樺が本質的に大事にしているのはそれだけではありません。
テルミナ店に甘味処を作ったことは、白樺本店で毎朝腕を振るっている和菓子職人さんたちにとっても、良い変化をもたらしているといいます。
「ここでは、月替わりで上生菓子のドリンクセット(850円+税)もご用意しています。これまで白樺ではこうした上生菓子はあまり作ってこなかったのですが、甘味処で食べてもらうために毎月ウチの職人に作ってもらうことにしたんです。季節の花や、風物詩などを形にした上生菓子作りは、いわば和菓子職人の腕の見せ所。彼らも張り切ってくれているので、こちらもぜひ楽しんでほしいです」
自分でお団子を焼く楽しさも、もなかが乗った和パフェの可愛さももちろんですが、「和菓子から日本の四季や文化を感じてほしい」という根本さんの想いは、上生菓子のなかにも込められているのですね。
根本さんがそうお話ししている時にも、ふらりと立ち寄ったマダムが上生菓子のドリンクセットを注文して、一息ついている風景が。なんだかカッコいいなと見惚れてしまいました。
「新しい和菓子」も「本格的な和菓子」も、どちらも味わえる地域の甘味処。そんな存在が、駅ビルの一角にある価値は大きいのかもしれません。
素敵なHello!が、今日もあなたに訪れますように。
(取材・執筆::山越栞 撮影:花田友歌)
住所 | 東京都墨田区江東橋3-14-5 テルミナ地下1階 Google mapで見る |
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営業時間 | 物販 10:00~21:00 甘味処 10:00~18:00(ラストオーダー17:30) |
定休日 | 無休 ※テルミナの休館日に準ずる |
TEL | 03-6659-5567 |
WEB | http://shirakaba.site/ |
SNS | Instagram , Facebook |
etc. | テルミナ店舗 ネットでエキナカ JREMALL |
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